ふと思い出した若かりし頃の体験から学んだこと
プロローグ
これはまだ僕が生まれたての仔馬のような足取でしか社会を歩けない若かりし頃の話し。若気の至りと言わんばかりの勢いでお酒を飲む僕の頭には終電の二文字は無かった。予想通り終電を逃してしまったわけだがそこで閃いたのである。
そうだ!ヒッチハイクで帰ろう!
若き日の僕はチャレンジ精神が旺盛だったのだ。と言えば聞こえはいいが単純に酔っぱらって後先考えられずに行動に出ただけである。
ヒッチハイクまでの道のり
そうだ!信号で止まった車に声をかけよう!
今日は頭が冴えている。しかし酔っ払い状態の僕でも声をかける勇気がない。ヒッチハイク以前の問題で僕は初対面の人に極めて弱いタイプの人間なのだ。
次に止まった車に声を掛けよう。何度もそう思いながら気づけば結構な距離を歩いていた。大通り沿いだが歩行者は人っ子ひとりいない。そんなところで急に声をかけられたら不気味だろうな。今更ながらにそう思う。
しかし、自宅までの距離は果てしない、タクシーもいない。そんな状況でこれからヒッチハイク以外の選択肢はない。意を決した僕は信号待ちの車に向かって歩き出す。もう後に引くことはできない。人生前進あるのみだ。
ジョン現る
僕に気づいた運転手さんはこちらを向いている。運転手さんの顔が見えるところまで近づいた時僕は気付く。どう見ても日本人ではない。進むのだ!車の窓をノックする。欧米系のお方(仮にジョンとする)は困惑した表情ながらも窓を開ける。
〇〇に行きたいのですが車に乗せてもらえませんか?(日本語)
OK!(英語)
神様、仏様、ジョン様。
道中、沈黙の恐怖に怯えて必死に話しかける。幸いにもジョンは日本語が流暢だった。聞けば自国ではヒッチハイクをすることもされることもあったが日本でされたのは初めてとのこと。僕が初めての人なんて光栄だ。
ジョンはもともと予定していた道から大きくはずれて僕を自宅前まで送り届けてくれた。異国の酒臭いサラリーマンに対してなんて優しことをしてくれるんだ。到着する頃にはすっかり酔いもさめていたが僕は言う。
Good luck! お前が言うな!?
最後に
為せば成るなさねば成らぬ何事も
それから経った月日の分だけ現在の僕は守りに入ることが多い。
人生まだまだこれからだ。いろんなことにチャレンジしていこう。